1. はじめに
2023年7月6日に発表になった新サービスの『SORACOM Relay 』を体験しました。
↓今回体験させていただいたのは IoT.kyoto に JOIN した新入社員の 羽賀と伊関です!
2. SORACOM Relay とは
2-1. SORACOM Relay の仕組み
SORACOM Relay (以下、Relay )は、 Real Time Streaming Protocol ( 以下、 RTSP )対応ネットワークカメラの映像を、 SORACOM Harvest Files や Amazon S3 に保存、または Amazon Kinesis Video Streams (以下、 KVS )にストリーミングすることができるサービスです。
株式会社ソラコム 提供
RTSP とは映像・音声のリアルタイムなストリーミング配信を制御するためのプロトコルで、ほとんどのネットワークカメラがこの方式で映像をNVRやVMSに配信しています。NVR と VNS は監視カメラ等の映像を記録し、管理・統合する機能を持つシステムで、これらの映像管理システムは導入時のハードル・コストが高いという問題点があります。
そこで今回登場した Relay を用いることでサーバレスでネットワークカメラ映像をストリーミング・保存することが可能になります。操作は SORACOM コンソール画面上で行うだけなので管理も簡単です。
2-2. 特徴と利点
外部ネットワークからインターネットを通じてカメラの映像を送受信すると、通信を傍受され、映像データが外部に流出する可能性があります。 RTSP には暗号化する技術も存在はしますが、カメラ側で実装されていないケースがほとんどです。そこで Relay を活用するとカメラから送信された映像は SORACOM のセキュアなプラットフォームを経由し、指定したサービスに安全に映像がストリーミング・保存されます。
株式会社ソラコム 提供
まとめると以下の点が特徴と利点になります。
簡単
RTSP 対応のカメラと SORACOM の通信環境を用意するだけで利用することができます。 操作も SORACOM コンソール画面で設定を行うだけなので簡単に使用することができます。
安心安全
カメラから送信される映像のやり取りは SORACOM のプラットフォーム内で完結しています。セキュアな通信経路なので安全に動画の閲覧・保存することができます。
使った分だけの請求
コンソール画面で通信制御を切り替えるだけの簡易操作で、必要な時に必要な分だけ映像をストリーミング・保存することができます。そのため、不要な通信量やデータ保存料などを払う心配がありません。
2-3. ユースケース
- 安全性の観点から、インターネットに晒されず、カメラ映像のリアルタイム監視や保存をしたい場合
- 撮影した映像をローカルストレージ以外に保存したいが、新たにサーバの設置など面倒なことは極力避けたい場合
- サーバの設置場所に縛られず、統合監視をしたい場合
- 映像の監視・保存を 24 時間ではなく、指定した時間だけ監視・保存したい場合
3. SORACOM Relay を使用して RTSP 対応ネットワークカメラの映像を各種サービスに保存する
3-1. 今回使用した機材・サービス
- RTSP 対応ネットワークカメラ( ATOM Cam 2 を使用しました)
- モバイルルータ(マルチキャリア M2M モバイルルータの UD-LT2 を使用しました)
- SORACOM Air for セルラー( SIM カード)
- SORACOM Relay
- SORACOM Harvest Files
- Amazon Kinesis Video Streams
3-2. 前提
RTSP 対応ネットワークカメラのセットアップが完了している。
SORACOM Air for セルラーの IoT SIM でセルラー通信が可能な状態である。
3-3. SORACOM Harvest Files に保存してみる
ここからが新機能!!!
新たに Relay のセッション管理ページが追加されています。
新規セッションの作成を選択します。
コンソール画面から接続先 RTSP サーバーとしてカメラの情報と転送先のサービスを指定をするだけで Relay セッションが作成できます。
今回は転送先のサービスを SORACOM Harvest Files に設定します。
セッションが作成されて数分待つと…
SORACOM Harvest Files にどんどん映像が保存されていきます。
保存された映像はダウンロードして、再生することができました。
Relay セッションによって30秒毎に分割された動画ファイルが保存されていました!
たったこれだけの手順で動画が保存され、再生までできるのはすごいですね!
3-4. KVS でストリーミング再生をしてみる
転送先のサービスを KVS にしてストリーミング再生もやってみました。
SORACOM コンソールと AWS コンソールのそれぞれでストリーミング再生することができます。
以下が SORACOM コンソールでストリーミング再生されている様子です。
SORACOM コンソール内で完結しているのはありがたいですね!
また以下のように AWS コンソール上でもストリーミング再生を確認することができました。
これらのサービスと連携することで AWS を用いた映像分析などの活用が期待できますね!
3-5. 補足:Amazonのサービスとの連携
時間の都合でここまでの体験となりましたが、さらに Relay セッションの転送先を Amazon S3 に変更することで、SORACOM Harvest Files 同様にカメラ映像をストレージに保存することもできます。
4. まとめ
SORACOM 新サービス『 SORACOM Relay 』は、SORACOM のセキュアなプラットフォームを経由し、指定したサービスに安全に映像がストリーミング・保存されることが大きな特徴です。 さらに簡単にできることも嬉しいポイントですね!
今回 SORACOM の新サービスを体験させてもらった新入社員の 2 人も SORACOM のサービスを始めて使ったのですが、手順通りに進めれば映像のストリーミング・保存が簡単にできました。
今回の SORACOM Relay の登場で、より安全に映像のストリーミング・保存ができるようになり、セキュリティ面等の懸念でインターネット上で映像のストリーミング・保存を行なっていなかったユーザーが利用し始めることが予想されます。今後の展望としては、より高い安全性が求められる監視サービスなどで SORACOM Relay の需要が高まっていくのではないかと予想されます。