AIカメラ「Vieureka」でカーペットの不良品検知を行う

顧客名

トーア紡マテリアル株式会社 四日市工場様

概要

AIカメラ「Vieureka」を使ってカーペットに混入した異色繊維を検知するシステムを提供しました。
カメラを使った不良検知は様々なソリューションが開発されていますが、お客様が満足できる精度で検知が行えるかは実際に利用してみないとわかりません。高額なイニシャルコストをかけても、精度にご納得いただけなければ、導入しても使い続けることは難しいでしょう。そこでIoT.kyotoでは事前にお客様よりサンプル画像を数枚送付いただき、十分な検知が可能か事前に確認できる「AIカメラお手軽導入パック」をご用意し、トーア紡マテリアル株式会社 四日市工場様にもご利用いただきました。検証結果を踏まえて、カーペットの製造ラインにAIカメラを設置し、異色繊維を検知する本番稼働を行いながら、精度をチューニングしています。

サンプル画像での検証についてはブログ記事をご覧ください。

AIカメラ「Vieureka」を使って不織布の不良品検知を行う

「不織布製造における表面の汚れや異色繊維の飛び込みを検知し、現在作業員の目視で行っている作業を省力化する」ため、AIカメラ「Vieureka」で不織布の不良品検知が可能か検証いたしました。


AIカメラ「Vieureka」を使った不良検知システムを導入するにあたり、どのような課題があり、システムを導入することでどのように解決できるのか、株式会社トーア紡コーポレーション 中井様、藤田様に伺いました。

お話を伺った様子を2022年7月6日〜7日開催のSORACOM Discovery2022 ONLINE スポンサーセッション内に配信いたしました。

人とシステムが協調しながら全体の品質を上げていくのが理想

—— どのような課題があり、外観検査を検討されましたか?

製品の異色繊維は人の目で確認しています。製品によってどの程度の精度でチェックを行うかは異なりますが、特に気をつけなければならない場合、反物が流れている間、専属の担当者が確認し続けなければなりません。担当者の体調や周囲の環境などにより、異常を見逃す事も懸念されていました。人のコンディションに左右されずに製品のチェックを行いたいという想いから、画像による外観検査を検討いたしました。

——AIカメラを利用するきっかけはございますか?

最初は一般的な外観検査装置の導入を検討していました。どうしても規模が大きなものが多く、外観検査用のカメラや照明などの機材も高価です。今までコストをかけて結果がうまく残らなかった経験もあり、いきなり高価な検査装置を導入するにはなかなか足を踏み入れることができませんでした。そんな時、新たな領域として「AIカメラ」が出てきたと知り、これを使ってなんとかできないか相談させてもらいました。
お話を伺い、AIカメラを使って現実的にできる範囲で試してみようということで、今回のプロジェクトがスタートしました。

——まずはサンプル画像をいただいて、検知できるか検証いたしました。

IoT.kyotoの実証実験結果を見て、「使えそうだな」と感じました。その後、実際に現場でも使えるか製造ラインに1台AIカメラを取り付け、工場内でもテストを行いました。検証期間は3ヶ月程度。異物のテストピースや継ぎ目など、正規の製品と異なるものが流れてきた場合に正しく判断できるか、通知が届くか、正しく画像を保存できているかなど、検証いたしました。結果、再現ができたため、本番実装しようと決意しました。

異色繊維を検知した際は該当箇所に赤い囲みを描画します。

——本番実装はどのような設置環境で行っていますか?

2m幅の反物を4台のAIカメラで撮影して、異常がないかをチェックしています。

製品はラミネート加工しているため、どうしても光が反射してしまいます。そのため、AIカメラで撮影した画像に反射が写らないように光源の位置やカメラの位置を調整する必要がありました。

——現場ではどのように活用される予定ですか?

検証の際はSlackへの通知で異色繊維の混入を知らせるようにしていました。本番実装では画面を1から作成していただき、管理画面から検知のパラメーターを設定したり、異色繊維を検知した際の画像が確認できるようにしています。

本番実装のアーキテクチャ


また、現場にはパトランプを設置し、異常を検知した際は作業者への通知と共に、パトランプが光るように設定しています。定期的に作業者が原料の切り替えなどの別作業を行うため、製品のチェックが手薄になることがあります。そういった時に見逃しがなかったか、作業者の 不安を軽減するため、すぐに気がつけるよう、パトランプでフォローできる体制を整えています。

実際のダッシュボード画面。画像の赤い部分は製品の継ぎ目です。

現状、異物を検知した時のデータは該当の箇所を切り取った実物やその写真、報告書で運用をしておりますが、このシステムが実際に現場で稼働すると、ロット、タイムスタンプ、混入位置、画像データが自動で全て記録され残っていきます。このデータを蓄積し続けていくと、傾向を把握することができ、そのデータを製造ラインへフィードバックすることで、品質向上効果が得られるのではないかと期待しています。

——現在、本番実装の検証をしていただいていますが、理想的な本番運用を教えていただけますか?

異色繊維混入によるトラブルを回避できたらいいと考えています。また、異色繊維混入のチェックは人の目でしか判断できない状況もあるため、無人化は考えていません。人の代替ではなく、人と協調しながら全体の品質を上げていきたいと考えています。機械やシステムに頼りすぎると機械やシステムの責任にしてしまうことがあります。しかし、機械やシステムは責任を取ってくれるわけではありません。頼りすぎることなく、機械やシステムは作業担当者の相棒だと認識してもらえるのが理想的であると考えています。

まとめ

トーア紡様は現在、IoTシステムやAIカメラの導入により、現場のスマートファクトリー化を積極的に進められています。以前、IoT.kyoto主催のオンラインイベントで「IoTはあくまでも道具であり、その使い方によって現場を変える」とお伺いしました。インタビュー内の「AIカメラを使った不良検知システムは人の代替品ではなく、人と共生していくことで製品の品質を上げていきたい」というお話にも繋がる言葉です。人とシステムを繋げる架け橋として、IoT.kyotoは今後も協力させていただきます。

AIカメラを使った不良検知は従来の外観検査装置のように「不良品を確実に検知する」という保証のもとでメーカーから提供するものではありません。指示通りにしか検知できないため、確実に不良品を検知できる状態になるように、AIカメラへの指示を工夫してもらい、ユーザー様ご自身で育てていただく必要があります。その上で、IoT.kyotoも人間の判断により近づけるアルゴリズムに変えていきたいと考えています。

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